法人決算・申告 Q & A 〜 決算から申告までの会社の経理の重要性
a−13. 注意したい「売上原価」の計算方法

顧問の税理士から、「期末には必ず棚卸をして下さい」言われますが、なぜですか?


@売上原価の構造
- イ.「(a)売上高」から「(b)売上原価」を差し引いて、「(c)売上総利益」が決まります。
- ロ.「(b)売上原価」は、「(c)売上総利益」を求めるための、重要な計算要素です。
- ハ.そして「(b)売上原価」は、「(1)期首棚卸高」に「(2)当期仕入高」を足して、その後「(3)期末棚卸高」を差し引いて求まります。
- ニ.つまり「(b)売上原価」を決定するうえで、「(3)期末棚卸の評価額」が重要になってきます。
- ホ.「(3)期末棚卸の評価額」が高くなると「(b)売上原価」は小さくなりますので、「(c)売上総利益」は上がります。
- ヘ.逆に「(3)期末棚卸の評価額」が低くなると「(b)売上原価」は高くなりますので、「(c)売上総利益」は下がります。
- ト.このように「(3)期末棚卸の評価額」が、会社のその期の決算の状況や利益を左右しますので、棚卸が重要になるのです。
- チ.「(3)期末棚卸の評価額」は、翌期の「(1)期首棚卸高」として引き継がれていきます。
A棚卸資産
- イ.棚卸の基本は「自社在庫」です。仕入先から「商品」を入荷して仕入計上は済んでいますが、まだ、得意先に売っていない商品です。倉庫が別の場所にある場合には、倉庫の在庫も忘れずに棚卸して下さい。
- ロ.委託販売を依頼した先の、店舗にある「預け在庫」は、所有権が自社にありますので、自社の在庫として把握できるように、委託先に棚卸をお願いして下さい。仕入先に製造を委託した場合で、部品を支給した場合も、「預け在庫」となりますので、棚卸をお願いして下さい。
- ハ.定期的に消費される消耗品で細々したものは、消耗品費として費用計上できます。ただし、事業に直接関係する物品で貯蔵中のものは、「貯蔵品」として資産計上が必要になりますからご注意下さい。
- ニ.製造を行っている場合には、完成した「製品」だけでなく、一部製造工程が終了しその状態で外部に販売が可能となっている「半製品」や、製造工程が完了していない「仕掛品」も棚卸資産ですので、在庫計上が必要です。
- ホ.主要原材料だけでなく、補助原材料も棚卸資産です。
- ヘ.完成製品(主物)を製造するうえで、従物として付属的にできるものは「副産物」として、棚卸資産となります。
- ト.製品を作る途中で発生する「作業くず」も、価値のあるものは棚卸資産です。
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