法人決算・申告 Q & A 〜 決算から申告までの会社の経理の重要性
a−17. 「資本的支出」と「修繕費」の基本的な考え方

固定資産として機械を所持しています。メンテナンスとしての保守代を毎月払っていますが、たまに、修理代が別途かかります。修理代は全て、「修繕費」として計上して良いのでしょうか。


@「修繕費」と「資本的支出」の違い
- イ.その資産の「修理」の為に支出した費用、つまり、通常の維持管理と、原状復帰回復のために支出した費用は、「修繕費」となります。
- ロ.「修繕費」は、支出した期の損金として、全額を費用計上できます。
- ハ.一方、その資産を「改良」する為に、資産の使用可能期間を延長させたり、価値を増加させたりするために支出した費用は、「資本的支出」となります。
- ニ.「資本的支出」として計上した資産は、「新たな」減価償却資産の取得とします。その後は減価償却によって、費用化していきます。
- ホ.機械の部品を、特に品質または性能の高いものに取り換えた場合には、「資本的支出」となります。
- ヘ.「資本的支出」になる場合の簿価は、「高品質、高性能へと取替えた場合の費用の総額」から、「通常の取替えに必要な費用」を差し引いた額です。
- ト.「通常の取替えに必要な費用」は、「修繕費」となります。
- チ.例えば、現状付いている部品と同じ部品を取替えた場合には、原状回復のための費用ですから、「修繕費」です。
- リ.「資本的支出」はあくまでも、品質や性能をより良くした場合の、その価値が向上した部分のみを、資産として計上します。
A「資本的支出」の例示
- イ.建物の避難階段の取り付けや、高額なエアコンの取り付けなど、物理的に追加した部分に係る費用は、資本的支出となります。勘定科目は「建物付属設備」「設備造作」です。
- ロ.その使用の用途を変えるために、模様替えに使った高額な費用や、改造や改装のための費用も、資本的支出となります。勘定科目は「建物付属設備」「設備造作」あるいは「工具器具備品」です。
B「資本的支出」ではなく、純粋に「固定資産」となるもの
- イ.建物の増築は、資本的支出ではなく、「建物」そのものの取得になります。
- ロ.既にある構築物のさらなる増加や拡張延長も、資本的支出ではなく、その「構築物」そのものの追加となり、固定資産の増加です。
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