法人決算・申告 Q & A 〜 決算から申告までの会社の経理の重要性
a−19. 「役員」給与と「使用人」給与の違い

顧問の税理士から、『会社の「役員」と「使用人」とで、税務上、給与の取り扱いが違うので注意して下さい。』と言われました。しかし、源泉税を差引いた後、本人に給与を振込むという点では、「役員」と「使用人」とで変わりはありません。なぜ、「役員」と「使用人」とで給与の取り扱いが異なるのか、混乱しています。基本的な違いを、簡単に教えて下さい。


@「役員給与」と「使用人給与」の損金算入の取り扱いの違い
- イ.「役員」に対する給与は、一定の給与以外のものは、「損金に算入されない」というのが基本的な考え方です。
- ロ.「使用人」に対する給与は、原則として、「損金に算入されます」ので、全額を費用にできます。
A「役員」と「使用人」の違い
- イ.<「重要事項の決定」ができるか、できないか>
■「役員」は一定の役職に就き、会社の経営上、重要事項の決定に深く「関与しています」。
■「使用人」とは会社の従業員で、会社の経営上、重要事項の決定に「関与していない」社員をいいます。 - ロ.<「役職」についているか、いないか>
■「代表取締役・取締役・社長・副社長・専務・常務や、監査役・清算人」など、または、「代表理事・理事や幹事」などの、役職についていれば「役員」とみなされます。これらの役職では、会社全体の経営を見て、ビジネスの舵を切る立場にあります。対外的にも、会社を統括する立場にあると判断できるからです。
■部長、次長、課長、係長、あるいは本部長などは「使用人」です。あくまでも、その「部」や「課」といった会社組織の一部の仕事を仕切り、現場で働く立ち位置にいます。 - ハ.<「委任」されているか、「雇用」されているか>
■「役員」は、会社から「委任」を受けて、会社の業務を遂行しています。委任するには、株主総会で選任する必要があります。委任契約の解除についても、正当な理由があれば、株主総会で自由に解任できます。
■「使用人」は、会社の従業員として「雇用」されています。会社の指揮命令に従い、労働に従事することによって、賃金が支払われます。雇用契約の解除については、客観的に合理的な理由が必要とされていますので、委任契約のように自由に行うことはできません。 - ニ.<「登記」されているか、いないか>
■登記されていれば、対外的にも「役員」であるという証明になります。
■「使用人」は単なる従業員ですから、もちろん登記はされません。
■たとえ登記はされていなくとも、「会長」「相談役」「顧問」などと呼ばれ、実質的に様々な経営判断を行っていれば、「役員」となります。形の上では、社長職を息子に譲った親が、今でも会社の内外に強い影響力を及ぼしており、会社の意思決定をしている場合には、肩書きがどうであれ「役員」とみなされます。 - ホ.<「株」をもっているか、どうか>
会社の株をもっているかどうかで、「役員」か「使用人」かの、判断はしません。例えば、創業者一族の子供が、相続で株を所有した場合でも、会社の「使用人」として働き続けており、会社の経営判断をする立場になければ、「役員ではない」ということです。
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