法人決算・申告 Q & A 〜 決算から申告までの会社の経理の重要性
a−21. 不相応な「役員給与」は損金算入されない

役員に対する給与で、損金算入されるように定期同額給与とした場合でも、損金算入されない場合を教えて下さい。


@事実と違う場合
- イ.役員給与としての事実を、「隠ぺい」もしくは「仮装」して損金経理している場合には、役員に実際に給与を支給していたとしても、損金に算入できません。
- ロ.例え、定期同額給与で、形式的には損金算入できるようにしていたとしても、役員の会社への貢献が無ければ、損金算入は否認されます。
- ハ.具体的には、「その役員の出勤状況」「その役員の職務内容と、実際の勤務内容」「その役員の従業員や取引先等への影響度」「その会社の売上高等に対する役員の功績」など、実際に、会社に対する役員の奉仕があるかどうかで、役員給与の妥当性が判断されます。
A不相当に高額な場合
- イ.「不相当に高額」な役員給与がある場合にも、損金算入されません。役員給与として認められるのは、相当な部分だけです。それを超えた「不相当に高額」な部分は、役員給与として認められず、損金算入されません。
- ロ.「役員給与」に、不相当に高額な部分があるかどうかは、次の2つの基準から判定されます。多い方の金額が損金算入されません。
(実質基準) 役員給与の額のうち、「その役員の職務内容」「その法人の収益」「使用人への給与の支給状況」「同業他社の役員給与の支給状況」に照らして、不相当に高額な部分の金額
(形式基準) その事業年度の役員給与の合計額が、「定款の規定」「株主総会などの決議」で決めた役員給与の限度額を超える場合には、その超える部分の金額 - ハ.役員給与は、「株主総会」で、役員給与の全体の総額を株主が決定します。個々の役員の報酬金額は、「取締役会」に一任させるのが一般的で、一任についても株主からの承認が必要です。
- ニ.「株主総会」での承認の決議後に、「取締役会」で、個々の代表取締役や取締役等の、役員給与の金額を具体的に決定します。
- ホ.「株主総会」や「取締役会」の「議事録」は、必ず作成して、残す必要があります。中小企業は同族株主が多いので、株主や取締役が身内だけの場合がほとんどです。「株主総会」や「取締役会」が形だけのものにならない様に、書面を作成し、押印して、会社に保存して下さい。税務調査があった場合には、「議事録」をすぐに出せるようにしておいて下さい。
- ヘ.「役員退職給与」の場合には、その額が、「取締役としての登記の期間」「役員の業務従事期間」「退職の事情」などに照らして、不相当に高額な部分の金額は、損金算入されません。
- ト.「使用人兼務役員」の場合には、「使用人」としての「賞与」のうち、他の使用人と異なる「時期」に支給した賞与の額は、損金算入されません。「役員」と「使用人」とで、給与や賞与の計算と支給のタイミングがずれる場合には、「使用人兼務役員」は他の「使用人」に合わせて賞与を支給して下さい。
B「使用人兼務役員」とは
- イ.使用人兼務役員とは、肩書きとしては、「役員」でありながら、同時に「部長・課長」あるいは「工場長・支店長・営業所長・支配人」であって、法人の使用人としての職制上の地位を有している者です。
- ロ.さらに、職務の内容として、常時「使用人としての職務」に従事していることが必要です。
- ハ.ただし、役員であっても、次の者は、使用人兼務役員にはなれません。
(1)代表取締役や代表理事など会社を代表する者
(2)清算人
(3)監査役および幹事
(4)同族会社の役員で、持株割合や議決権割合などが、一定の所有割合である者
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