法人決算・申告 Q & A 〜 決算から申告までの会社の経理の重要性
a−24. 「使用人給与」の取扱い
使用人に給与を支払う場合には、経費にしています。反対に、使用人に支払う給与でも「経費にならない場合」を教えて下さい。
@使用人給与の損金算入と不算入の考え方
- イ.「使用人」に支払う給与は、原則として、損金算入になります。
- ロ.しかし、役員と特殊関係にある使用人、つまり「特殊関係使用人」に対して支給する給与のうち、「不相当に高額と認められる部分」は、損金に算入できません。
- ハ.なぜなら、本来は役員に対して支給すべきであった給与を、役員の親族である使用人に過大に支給すると、(1)所得の不当な分散や、(2)法人税の脱税につながってしまうからです。
- 二.(1)「所得の不当な分散」とは、所得税の税率が累進課税になっていることにより起こります。所得税は、給与所得の額が多いほど税率も高くなっています。そこで、税率の高い役員の給与をその親族の使用人にまわすと、納めるべき役員給与の税額が、親族の使用人給与の上がった税額より、下がります。役員とその使用人は家族ですからから、結果的に、家族全体で見れば納める税金は減ったことになります。役員の給与所得を不当に下げて、代わりに、その親族の使用人の給与を不当に上げると、不当に所得の分散をはかったことになります。
- ホ.(2)「法人税の脱税」は、本来役員給与として損金に不算入される部分を、使用人給与という名目で損金算入してしまうと、不当な経費計上となり、不当に法人税の納税を逃れることになります。
A「特殊関係使用人」
- 特殊関係使用人は、次に該当する者をいいます。
- (1)役員の親族
- (2)役員と事実上の婚姻関係と同様の関係にある者
- (3)役員から生計の支援を受けている者
- (4)上記2及び3の親族で、2及び3の者と生計を一にする親族
B「不相当に高額と認められる部分」
- イ.給与が不当に高額かどうかは、次のような観点から判断されます。
- (1)その使用人の職務の内容
- (2)その会社の収益
- (3)他の使用人に対する給与の支給の状況
- (4)その会社と同種同規模会社の使用人に対する給与の支給状況等
- ロ.上記Bイの(1)(2)(3)(4)に照らして、その特殊関係使用人に対して支給した給与の額が、不相当に高額な場合には、損金不算入となります。