木村金蔵税理士事務所−東京都台東区上野にある、相続・贈与・譲渡、弥生会計の税理士・会計事務所
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2012-02-23
2012年度 税制改正大綱

−消費税率上げ論議と小規模減税


2011年12月10日、政府税制調査会は2012年度の税制改正大綱を決定しました。
全体として、「税制の公平性・簡素化」といった抜本的な改正はなく、六重苦に喘ぐ企業の構造改革が進むまでの産業の空洞化を抑制するための小幅なものとなっています。
具体的には、消費税率上げ論議が継続し、小規模な減税を寄せ集めた形になっています。例えば、自動車重量税の軽減や船舶、石油化学製品の原料であるナフサにかかる石油石炭税の免税措置延長、さらに、省エネ住宅購入時の税制優遇拡充や企業の研究開発減税等です。
改正の主なポイントは次の通りです。



T.個人所得課税
1.給与所得控除の見直し
 給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額の上限を245万円とする。


2.退職所得課税の見直し
 退職手当等の支払者の役員等(役員等としての勤続年数が5年以下の者に限る)が当該退職手当等の支払者から役員等の勤続年数に対応するものとして支払いを受けるものに係る退職所得の課税方法について、退職所得控除額を控除した残額の2分の1とする措置を廃止。


3.租税特別措置等
[国税] −廃止・縮減等−
(1)認定長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除について、税額控除額の上限額を50万円(現行100万円)に引き下げた上、その適用期限を2年延長。

[地方税] −延長・拡充等−
(1)居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長。
(2)特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長。
(3)低炭素まちづくり促進法(仮称)の制定に伴い、同法に規定する認定省エネルギー建築物(仮称)のうち一定の住宅について、所得税における住宅借入金等特別税額控除の適用がある者(2012年または2013年に入居した者に限る)のうち、当該年分の住宅借入金等特別税額控除額から当該年分の所得税額を控除した残額があるものについては、翌年度分の個人住民税において、当該残額に相当する額(当該年分の所得税の課税総所得金額等の額に100分の5を乗じ得た額=最高9.75万円=を限度とする)を減額。



U.資産課税
1.贈与税の非課税措置
・ 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅用家屋の場合は、非課税限度額(現行1,000万円)を次の通りとする。
  a.2012年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500万円
  b.2013年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,200万円
  c.2014年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000万円


2.復興支援措置
[国税] −延長・拡充等−
(1)東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、非課税限度額(現行1,000万円)を次の通りとした上、適用期限を2014年12月31日までとする。
 @省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅用家屋の場合 1,500万円
 A上記@以外の住宅用家屋の場合 1,000万円
(2)商工組合中央金庫が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、東日本大震災の被災者への貸し付けに係る抵当権の設定登記等に対する軽減税率の適用期限を2016年3月31日(現行2013年3月31日)まで延長する等の措置を講じる。
(3)東日本大震災事業者再生支援機構が東日本大震災の被害者に対して行う金銭の貸し付けに係る消費貸借に関する契約書について、当該金銭の貸し付けの条件が当該被害者の支援に資する有利な条件となることを前提に、印紙税を非課税とする。

−新設−
(1)2012年4月1日から2016年3月31日までの間に、信託会社等が東日本大震災により著しい被害を受けた一定の地方公共団体との信託契約に基づき、その地方公共団体の所有する土地の上に一定の施設を建築する場合において、その施設(公共・公用施設の部分に限る)の用に供する土地及び建物の所有権に係る信託の登記に対する登録免許税を非課税とする。



V.法人課税
1.研究開発税制
[国税]
・ 試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度を2年延長。

[地方税]
・ 中小企業者等の試験研究費に係る法人住民税の特別措置について、試験研究費増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度の適用期限を2年延長。


2.環境関連投資促進税制
[国税]
・ 対象資産のうち太陽光発電設備及び風力発電設備を電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の認定設備で一定の規模以上のものに限定した上、2012年4月1日から2013年3月31日までの間に当該設備の取得等をし、その事業用に供した場合には、普通償却限度額との合計で取得価額まで特別償却ができる。


3.復興支援措置
[国税] −新設−
(1)原子力災害からの復興支援 福島復興再生特別措置法(仮称)の制定を前提に、次の措置を講じる。
 @福島県全域に係る措置 福島県の全ての地方公共団体が東日本大震災復興特別区域法の課税の特例を含む復興推進計画を作成することができる特定地方公共団体の対象となることに伴い、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例法における措置を適用する。
 A非難解除区域に係る措置 機械等を取得した場合の特別償却又は税制控除制度の創設など。
(2)二重ローン対策
 @貸倒引当金制度について、その適用を受ける法人に、東日本大震災事業者再生支援機構を追加する。
 A東日本大震災により被害を受けた法人が、東日本大震災事業者再生支援機構又は産業復興機構から債務の免除を受けた場合、期限切れ欠損金の損金算入をできる。


4.その他の租税特別措置等
[国税] −廃止・縮減等−
(1)公害防止用設備の特別償却制度の2年延長。
(2)日本郵政株式会社法の改正を前提に、社会・地域貢献基金が廃止される場合には、社会・地域貢献準備金制度を廃止。
(3)特定の資産の買い替えの場合等の課税の特例における長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装備等への買い替えについて、買換資産の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。

−延長・拡充等−
(1)共同利用施設の特別償却制度の適用期限を1年延長。
(2)特定再開発建築物等の割増償却制度における都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、対象となる認定計画にその認定があったものとみなされる特定都市再生緊急整備地域に係る整備計画を含める。
(3)海外投資等損失準備金制度を2年延長。
(4)金属鉱業等鉱害防止準備金制度を2年延長。
(5)特定廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金制度を2年延長。
(6)関西国際空港整備準備金制度を関西国際空港用地整備準備金制度に改組。
国土交通省が指定する株式会社が、新関西国際空港株式会社に関西国際空港用地の貸し付けを開始した日から同空港用地の造成工事の費用にかかる借入金等の債務の返済の完了が予定されている日までの各事業年度において、用地の取得価額等の10分の1とその事業年度の所得の金額から旧関西国際空港株式会社所得水準額を控除した金額とのいずれか低い金額以下の金額を関西国際空港用地整備準備金として積立金を損金に算入できる。
(7)使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例を2年延長。
(8)中小企業者等以外の法人の欠損金の繰り戻しによる還付の不適用措置を2年延長。

[地方税] −延長・拡充等−
・ 法人住民税について海外投資等損失準備金制度の適用期限を2年延長。

−新設−
・ 新関西国際空港株式会社及び指定会社に係る法人事業税について、資本金等の額の6分の5に相当する金額を資本金等の額から控除する資本割の課税標準の特例措置を2年間講じる。


5.その他
[国税]
(1)地方公共団体情報処理機構法(仮称)の制定を前提に、地方公共団体情報処理機構(仮称)を法人税法別表第一に追加。
(2)独立行政法人・新エネルギー・産業技術総合開発機構から独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構への石炭資源開発業務等の移管後も現行制度と同様の税制措置を講じる。
(3)資産の評価損益の計上及び期限切れ欠損金の優先控除制度について、債務処理に関する計画に政府関係金融機関が債務免除等をすることが定められていることとの要件における政府関係金融機関の範囲に、国際協力銀行を追加。
(4)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度を拡充。
(5)2012年3月31日を持って廃止される適格退職年金制度に関し、いわゆる閉鎖型の適格退職年金契約のうち、事業主が存在しないもの及び厚生年金保険未適用事業所の事業主が締結しているものは現行の適格退職年金契約にかかる税制上の措置を継続適用する。
(6)関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設備及び管理に関する法律に基づく組織再編成による新関西国際空港株式会社への資産・負債の承継について、所要の措置を講じる。
(7)対外船舶運航事業を営む法人の日本船舶による収入金額の課税の特例(トン数標準税制)については、更なる経済安全保障確保の観点から、日本船舶への迅速かつ確実な転換等の課題にも対応した次期通常国会における海上運送法改正、日本船舶や日本人船員を増加させるという日本船舶・船員確保計画の拡充を前提に、2013年度税制改正において、日本船舶増加のインセンティブにも十分配慮しつつ、適用対象を我が国外航海運業者の海外子会社が所有する一定の要件を満たした外国船舶に拡充する。



W.消費課税
1.車体課税
[国税] ・ 自動車重量税の見直し

[地方税]
(1)排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車に係る自動車取得税についての特物措置を講じる。
(2)低公害車に係る自動車取得税の税率の特例措置及び一定の排出ガス性能・燃費性能を備えた自動車に係る自動車取得税の課税標準の特例措置を見直す。
(3)自動車税について、排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車は税率を軽減。
新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車については、税率を重くする特例措置の見直しを行った上で2年延。


2.地球温暖化対策のための税
(1)石油石炭税に「地球温暖化対策のための課税の特例」を設け、二酸化炭素(Co2)排出量に応じた税率を上乗せする。
(2)「地球温暖化対策の課税の特例」により上乗せする税率は原油及び石油製品については1キロリットルあたり760円、ガス状炭化水素は1トンあたり670円とする。


3.租税特別措置等
[国税] −延長・拡充等−
(1)入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を1年延長する。
(2)入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長する。
(3)揮発油税等について当分の間として措置されている現在の税率水準を維持する。
(4)輸入・国産農林漁業用A重油に係る石油石炭税の免除・還付措置の適用期限を2年延長する。
(5)輸入・国産石油化学製品製造用揮発油等、鉄鋼製造用等の特定用途石炭及び国産石油アスファルト等にかかる石油石炭税の免税・還付措置の適用期限について、当分の間延長する。原料用石油製品等にかかる免税・還付措置の本則化については引き続き検討する。


4.その他
[国税] ・消費税が非課税とされる介護サービスの範囲に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、複合型サービスおよび地域支援事業として要支援者等に対して行われる資産の譲渡等を加える。



X.国際課税
1.徴収共助・送達共助にかかる国内法の整備
・ 税務行政執行共助条約等における徴収共助等に関する規定についての国内担保法を整備する観点から次の措置を講じる。
(1)外国租税債権の優先権の否定に関する規定の整備
(2)徴収共助等を実施しない事由の整備
(3)徴収共助等の実施のための手続き等の整備
(4)送達共助の実施のための手続き等の整備
(5)その他所要の措置

2.国外財産調書制度の創設

3.関連者間の利子を利用した租税回避への対応

4.租税特別措置

5.その他
・ 外国子会社合算税制等にかかる二重課税調整措置の見直し 内国法人等が外国子会社合算税制の適用を受けた外国孫会社から外国子会社を通じて受けた配当等(以下「間接配当等」)の額がある場合の二重課税調整について、内国法人等がその事業年度末に最も近い日に外国子会社から受けた配当等の支払いにかかる基準日またはその基準日に相当する日における内国法人等の外国子会社に対する持ち株割合を用いてその間接配当等の額を計算する。

 

木村金藏税理士事務所
代表 税理士 木村 金藏

昭和46年に上野で税理士事務所を開業し、税理士として時には経営者として、さまざまなことを学んできました。

実践で培った600超の事例から、財産を守る相続対策を提唱しています。「相続税対策」「土地有効活用・賃貸住宅経営」セミナーの講演を、全国で年50回以上実施しています。

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